針葉樹と広葉樹の性質の違い

私たちが認識できる木や木材の性質は、『白い、茶色い、硬い材質のもの、柔らかいもの』といった、五感によるところが大きいですが、普段私たちが意識することの少ない、木の内面や細胞といった小さな世界でも、木の性質を形成する要素があります。

 

木材選びのための基礎知識として、この普段目に見えない要因による性質の違いも理解していただくために、針葉樹と広葉樹の違いを例にとってご紹介いたします。

外見の違い

最もポピュラーな違いですので、みなさんも真っ先に思い浮かぶものかもしれませんが、針葉樹と広葉樹では、葉の形にそれぞれ特徴的な違いがあります。針葉樹は、その名の通り先がとがった細い葉となっていますが、広葉樹は扁平な形の葉がつきます。

また、幹いついては、針葉樹はまっすぐに伸びますが、広葉樹は太く曲がっていることが多いという特徴があります。

内面の違い

次に内面の違いを見てみます。大まかにいうと、広葉樹のほうが針葉樹よりも複雑な内部構造をしています。木に限った話ではありませんが、複雑な構造を持つほうが、多様な性質を持つことになります。

 

針葉樹は、体組織のほとんどが仮道管という組織で占められており、この仮道管は根から吸収した水分を木全体に流通させるための管なのですが、同時に木自体を支える支柱の役割も担っています。

広葉樹は、水の流通は道管という組織で行っていますが、木を支えているのは、木部繊維という組織になります。このように、広葉樹のほうが組織構造が複雑なだけでなく、組織ごとの機能も分業・専門化しています。

 

仮道管と道官は、名前や機能を聞くと近しいもののように思えますが、細胞レベルでみると大きな違いがあります。

仮道管は、長い両端がとがった紡錘形をした細胞で、側壁に壁孔という水を受け渡しできる孔があります。仮道管牡牛は上下にずれて側壁で接触しているが、壁孔は上下にはなく壁面にしかないため、水はジグザグ状に移動していくことになります。

一方、道管は、こちらも長い細胞ですが、道管同士は上下にある細胞のつなぎ目部となる細胞壁に大きな孔があいており、長い管状になるため水は下から上に移動していきます。

木のさまざまな性質

広葉樹と針葉樹の違いをご覧いただきましたが、広葉樹と針葉樹それぞれの中でも、様々な特徴がある樹種がたくさんあります。

とくに広葉樹は複雑な構造を持つものが多いため、針葉樹の樹種が540種と言われているのに対し、広葉樹はおよそ20万樹種と多く、その性質も多様です。広葉樹の中でも性質が大きく異なる事例をご紹介いたします。

多様な広葉樹の性質

英語で広葉樹を何というかご存知でしょうか。

正解はハードウッドです(ちなみに、針葉樹はソフトウッドといいます)。

 

この言葉から広葉樹は重くて硬いイメージを受けると思いますが、実際の木の重さや硬さは、木の中の空気量によって決まります。空気量が少ないものは空気量が多いものよりも、同じ体積当たりの比重が大きくなるため重くなります。また、同様に空気量が少ないほうが細胞の密度が高くなるため硬くなります。

 

一般的に広葉樹は空気量が少なく、重いものが多いことから、ハードウッドと呼ばれていますが、そんな広葉樹のなかでも、硬さや重さは様々です。

 

例えば最も軽い木で知らているバルサという木と、世界で最も重い木と言われているリグナムバイタは、同じ広葉樹ですが対照的な性質となっています。

空気量としては、バルサが細胞7%に対し、空気の割合が93%。リグナムバイタは、細胞87%に対し、空気の割合が13%となっています。数値だけですとあまりイメージが湧かないかもしれませんが、試しにそれぞれの木片を水に入れると、バルサは浮きますが、リグナムバイタは完全に底に沈んでしまいますので、その違いが明白です。

また、バルサは発泡スチロールのように柔らかく、カッターなどで簡単に切ることが可能です。リグナムバイタは金属用の加工機械がないと切断できないほどです。

木の性質に応じた利用用途

木がもつ様々な性質について、簡単ではありますがご理解いただけたのではないかと思います。ではその性質を踏まえて、どのように利用用途に適した木材を選ぶか、というのが次のお話となります。

例えば、さきほど登場したバルサは、その軽さから模型飛行機の材料に利用されます。一方、リグナムバイタは非常に硬いことから船舶のスクリューの軸受けに使われるほどです。

このように特性に応じてどのようなものに利用されているかをいくつかご紹介しましょう。

建築物への利用

木造住宅で利用される木材ですと、重く硬い材質の広葉樹は主に床材に重宝されてきました。特に家の中で土足の風習のある文化圏ですと、より傷のつきにくい硬い材質のものが好まれて利用されています。一方、日本のような家の中で靴を履かない文化圏では、家の廊下などは針葉樹が利用されます。

ほかにも針葉樹は、幹がまっすぐであることや、軽くて加工しやすいことから、柱や梁といった建築の構造材として多用されています。加工機械のなかった時代に、大きな柱などを切断や設置することを考えると、こう菱樹よりも針葉樹が利用されることは納得できるかと思います。

家具への利用

家具には広葉樹が利用されるケースが多いです。

硬いことから耐久性も高く、長年利用するという観点で広く利用されています。また、食器やペンとの接触が多いテーブルやくデスクにも傷がつきにくい広葉樹が好まれます。

針葉樹は軽量のため折り畳みできる家具やアウトドア製品に利用されます。また、手触りや見た目が優しいことから、子供用の家具や玩具に利用されます。ほかにも、比較的水分を含みにくい性質から、浴槽にも利用されます。木材の風呂というと真っ先に檜風呂が連想されると思いますが、檜も針葉樹など想像しやすいかと思います。

生活用品での利用

木材は燃料となるため、古くから薪として利用されてきました。

薪として木材を利用する場合にも、広葉樹と針葉樹の違いを意識することがあります。

針葉樹はく空気量が多いため燃えやすく、広葉樹は着火しにくいですが長時間燃え続けるという特徴がありますので、コンロやキャンプで利用する際は、両者を併用することが効率的な使い方となります。

また、薪を割るところから行う場合は、広葉樹と針葉樹それぞれの巻き割り用の斧があるくらいですので、木の材質を意識して斧を調達しないと、よほどの熟練者でない大変な労力を要することになるでしょう。